照明環境(ライトブース)がD50なのになぜモニターをD65にキャリブレーションするの?

『理論的に言えば,D50に調整された照明でプリントを観察するのであれば,D50の白色点にモニターを設定すべきであるということになりますが,このことは,モニターの輝度が観察環境と同程度に明るく,また,用紙の白が完全にニュートラル(無彩色)ならば当てはまります.しかしながら,現実的には,環境は完全ではありません.一般的に,フォトグラファーがD50にモニタを調整してイメージのプレビューを見ると少し黄味がかり暗くみえてしまいます.この現象に対していくつかの理由が説明できます.1つには,ほとんどの写真用紙はD50をシミュレートした照明で観察した場合,非常に青味がかっています.また,多くのモニターではD50で高い輝度を実現することができません.これらの理由のため,写真用紙での作業の場合,D65のほうが比較的良いモニターとプリントのマッチを実現することができるようです.私たちは,モニターの白色点をライトボックスの白と同じに見えるようにしたいのです.私はD65の白色点にキャリブレーションすることを推奨しています.』

Andrew Rodney, Color Management for Photographers, Focal Press, 2005 より

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