ある日、黒い靴下を2枚履いて、家を出て職場に着いてから、片方が紺色だと気づいたことはありませんか?もしそうなら、あなたはメタメリズムの被害者です。
メタメリズムとは、ある照明条件下で、2つの色が一致して見えます(メタメリックマッチ)が、照明条件が変わると一致しなくなる現象のことです。メタメリックマッチはよく見られる現象であり、特にグレーや白、ダークカラーのような中間色に近い色で非常に一般的です。色が明るくなるか彩度が高くなるにつれて、メタメリックマッチの可能性が低くなります。
色の品質管理におけるメタメリズムを避けるために、原因を調べる必要があります。
メタメリズムが起きる原理
メタメリズムが起きる理由は、照明光と物体が、その光を反射して私たちに色の知覚を与える方法にあります。
以下は白熱灯と昼光色の反射率曲線です。白熱灯の赤色領域には多くのエネルギーが多いが、青色領域にはそれほどエネルギーがないことが見えると思います。 赤色領域のエネルギーが増加するため、白熱灯で照らされた物体は、青色をピークとする昼光色の下で照らされた物体と比べ、より赤く見えます。
分光測色計を使用すれば、物体を測定し、可視スペクトルの各点で、どれだけの光が反射しているか、見ることができます。結果として、得られた分光反射率データは、その色の「指紋」であり、分光反射率曲線を作成するのに使用します。 メタメリック ペアは、指定された単一の照明条件下では同一に見える色合いですが、実際には異なる指紋(分光反射率)を持ちます。
右のグラフは2つの赤色の分光反射率曲線を示しています。どちらの曲線も青色を強く吸収し、どちらも緑色を適度に吸収し、どちらも赤色をかなり強く反射しています。 曲線が互いにねじれていることに注目してください。同じ色に見える2つの物理サンプルに少なくとも 3 回交差する曲線がある場合、それらはメタメリックペアです。物体がメタメリックペアである場合、メタメリズムが起きるのは明らかであり、同じ色に見えても、すべての照明条件の下では、一致するわけではありません。
メタメリズムの原因とは?
メタメリズムは、製品が異なる基材で生産する場合によく見られます。自動車メーカーは常にこの現象に悩まされています。 ボディペイントに使われる顔料は、バンパーやバックミラーに使われている顔料と異なり、内装生地はプラスチック製のダッシュボードに使われる顔料とは異なる染料で着色されているにもかかわらず、組み立てられたクルマは事実上あらゆる照明の下で一致しなければなりません。
蛍光増白剤も、紙、布地、液体におけるメタメリズムが起きる一つの原因だと思われています。 なぜなら、可視光線より短い波長の紫外線エネルギーを吸収し、より長い波長のエネルギーを再放出する化学物質を加え、色をより白く見せます。通常、蛍光増白剤のコントロールは難しく、しばしばメタメリックペアの発生原因となります。
異なるサプライヤーでパーツを組み合わせる場合、メタメリズムをさらに監視する必要があります。着色剤の調合や染色工程に違いがあれば、物体の色の指紋(分光反射率)が変わってしまうからです。
メタメリズムを避ける対策
- 分光測色計を使って、分光反射率を取得し、比較します。分光測色計は、最後の工程に使用するのではありません。生産の前に使用する着色剤を測定すれば、多くの時間と無駄を節約できます。
- 製品を出荷する前に、標準光源装置を使用し、さまざまな照明条件の下で色を評価します。あらゆる照明条件の下で色が一致し続けるなら、物体の色の分光反射率が異なっても問題ありません。
- 異なるサプライヤーやメーカーと取引する際に、標準作業の手順書によって、明確な期待値を設定し、納品物にメタメリズムが起きる場合の対策案も提供します。
メタメリズムの対策におすすめの製品一覧
以下の製品を使用すれば、メタメリズムを避けることができます。
測定機の精度を最適化 NetProfiler
NetProfilerは、ソフトウェアと色標準を組み合わせたクラウドベースのソフトウェアで、色測定機器の性能を検証・最適化し、機器間のばらつきを低減します。お問い合わせや、無料相談・無償機材貸出・製品見学会のお申込はこちら