2ピース金属缶のようなメタライズされた基材は、製造コストが高く、印刷のカラーコントロールも困難な課題になります。 金属缶印刷業界では、色測定の定義を受け入れることに抵抗を感じる人が多いかもしれませんが、色測定は、加工工場の全体で一貫した色を作り出し、持続可能な取り組みを実現するために最も早く、最も正確で費用対効果の高い方法です
本記事には、以下のトピックスについてお話しします。
- 通常のカラーコントロールプログラムにおける目視評価の欠点
- 金属缶印刷向けのデジタルカラーソリューションの構成要素
- 金属缶印刷の色を測定するために、最適な分光測色計を紹介
以下は、X-Riteによって2020に実施された飲料缶のゲージR&R研究結果で、X-Riteデジタルカラーソリューションが飲料缶製造環境において正確性と繰り返し性を確認しています。
目視評価が色の精度を評価するのに十分ではない理由
通常、色を見るためには3つの要素が必要です。それは、人間の目、光と物体です。これらの3つの要素はすべて変動の影響を受けています。
- 人間の目の多様性: 遺伝、色の記憶、目の疲労、色覚のタイプ、薬剤の影響など、色の違いを識別する能力に影響を与える要素がたくさんあります。私たちは皆、色の見え方が少し異なるため、作業者が変わると意見の相違が生じるケースもあります。
- 光の種類の違い: 私たちが見る色に最も大きな影響を与えるのは光です。 虹 (ROYGBIV) として知られる可視色のスペクトルは、約 400 ~ 700 ナノメートルの波長の光からなり、赤・緑・青の3つの主要な色に分解されます。白熱灯、蛍光灯、昼光など、各種の光は波長の異なる組み合わせを持ち、異なる種類の光を放射します。
- 物体の反射: 物体自体には色がありません。物体は、どの波長の光を吸収し、どの波長の光を反射するかを決定する特性を持っています。人間の目に入る反射光の混合が色の知覚を生み出します。例えば、蛍光灯の工場照明と昼光のように、光の種類が変わると、物体から反射される光の質と量が異なり、それに伴う色も変化します。
上記の図にある車は、昼間の日光の下では赤く見えますが、夜空の下では青みがかり、蛍光灯や夕日の下では、より黄色く見えます。しかし、基準がなければ、どれもただ赤く見えるだけです。
反射面の視覚評価はほぼ不可能です。パッケージを一つの方向で持っていると、色は問題なく見えるかもしれませんが、それを横に回転させたり、太陽の光の中に出したりすると、色が変わります。さらに、製造側では合格しているかもしれませんが、ブランドオーナーにも同じように見えるでしょうか。最終的な色は店舗の棚に並んだ他のパッケージと一致するでしょうか。
当社の人気のある「Color Perception(色彩感覚)」ブログシリーズでは、このトピックについて、詳しく取り上げていますが、重要なポイントは、視覚的な評価は主観的になりやすいということです。 コストと適合性が収益を左右する場合、視覚評価のみでは、最もコスト効率が高く、再現性の高い色評価方法とは言えません。
デジタルカラーソリューションの構成要素
複数の場所で正確な色を保証するための唯一の具体的的な方法は、デジタルな仕様と評価を使用することです。つまり、色のデジタルな値と物理サンプルと組み合わせて使用することです。色の評価の重点が物理サンプルからデジタル値に移行することで、原本のデザイン意図の色をより良く実現することができます。
金属缶印刷表面の色をコントロールするには、ワークフローを大幅に変更する必要はありません。ただ、新しいツールが必要なだけかもしれません。
- 測色計:分光測色を行うことで、製品のサンプルをチェックし、色が各製造ラインの中で許容範囲内にあることを確認することができます。
- 品質管理ソフトウェア:基準となるデジタル仕様と許容できる色差の許容範囲内を入力することで、分光測色計から得られるデジタルデータを使用して、色が目標通りであるかを即座に判断することができます。 また、トレンドを追跡し、色の管理状況をブランドオーナーに報告することもできます。
金属缶印刷の色の測定に最適な分光測色計を選ぶには?
通常、45:0分光測色計は包装印刷業界によく使用されます。これらの機器では、サンプルの照明は45°から行われ、光が直接反射される正反射光または光沢角も45°です。サンプル表演からのピックアップは0°なので、光沢を捉えることはできません。反射性のある包装材料に対しては、このタイプの測定器は最適ではありません。
反射性のある包装材料に対しては、積分球分光測色計は最も最適な測定機器です。この機器は、拡散光を提供するために、球体の内面は高い反射率の白色表面でコーティングされており、光源は球体の後部に配置され、サンプルに直接光が当たらないようにバッフルが設けられています。積分球分光測色計はサンプルと光沢角の両方が垂直から8°の角度で観測されます。参照光のポートは球体の壁を監視し、照明の変化を補正します。
積分球分光測色計は、反射率の測定を2つの方法で行うことができます。それは、正反射光を含む測定(SPIN)と正反射光を除去する測定(SPEX)です。正反射光を測定に含めるには、鏡面ポートが閉じられます。正反射光を排除するためには、鏡面ポートが開き、測定に鏡面成分が含まれないようになります。
信じられないかもしれませんが、正反射光を含む測定または正反射光を除去した測定のいずれかで完璧なデジタル一致を達成することができますが、視覚的な色の評価においては完全に一致しない場合もあります。金属缶印刷においては、色の印象をよりよくするために、正反射光を含む測定と正反射光を除去した測定の両方を反射率として捉えることが最善です。
金属缶におけるエックスライトの色測定ソリューション
金属缶印刷の色を測定する X-Rite のソリューションには次のものが含まれます。
ポータブル積分球分光測色計 Ci64: エックスライトの最も精密な測定機器です。Ci64は信頼性のあるデータ収集と、SPIN/SPEX および相関光沢の同時測定による統計的プロセス制御を提供します。グラフィックジョブ(Graphical Jobs™)インターフェースと測定可能なメニューにより、オペレータは装置から直接測定手順とデータを表示でき、生産ライン、製造施設全体で一貫性を確保することができます。
カップとシリンダーの固定具: カップとシリンダーの固定具には、ネックのない飲料缶を保持するためのサンプル位置決めアームと、変形や歪みなしに複数の方向で一貫した測定を行うために、Ci64を適切な高さと角度で保持するためのベンチがあります。
Color iQCソフトウェア: Color iQCは、測定されたサンプルが基準値の許容範囲内にあるかどうかを簡単に評価するための設定可能なジョブベースのソフトウェアシステムです。Color iQCを使用することで、ブランド、サプライヤー、および製造業者は基準値、許容範囲、設定、測定モードを定義し、オペレータ間および複数の場所間で正確な色測定の実践を確実にすることができます。
NetProfilerソフトウェア: NetProfilerは、クラウドベースのソフトウェアとカラースタンダードの組み合わせで、計測器の性能調整や検証、サービスが必要な計測器の特定、デバイス間のばらつきの軽減を容易にするツールです。
さらに、エックスライトのソリューションの最大メリットは、カラーエキスパートから受けられるサポートです。エックスライトは、無償相談や無償機材貸出サービス、充実なアフターサービスを提供しており、お客様の色測定プロセスを最大限に活用することを支援します。
さらに知りたい方へ
エックスライトの色計測ソリューションが、一貫性のある計測プロセスと廃棄物の削減に貢献する方法については、「2ピース金属パッケージのためのカラー計測と許容範囲」というホワイトペーパーをダウンロードしていただくことをお勧めします。そこで、エックスライト色計測ソリューションがどのように繰り返し可能かつ再現性のある結果をもたらすかをご確認いただけます。
https://www.xrite.com/ja-jp/learning-color-education/whitepapers/tolerancing-for-metal-packaging
コカ・コーラ ヨーロッパが、エックスライト ソリューションを使用して包装の持続可能性に取り組んでいる方法について詳しく知りたい場合は、このブログをご覧ください。
https://www.xrite.com/ja-jp/blog/coca-cola-packaging-workflow