色の測定機器としては分光測色計(スペクトロフォトメーター)が最も一般的に使用されています。
分光測色計は可視領域スペクトルの数多くのポイントで反射光や透過光を測定し、1つの曲線を導き出します。 各色の曲線は、いわゆる署名や指紋のようにそれぞれ独自の特性を持っていることから、色の識別やして、さらにマッチングの最適なツールとして使用することができます。
特に特定のアプリケーションで、最適な測定器を選択する上でのヒントを紹介します。
積分球測定
50年近くの間、調色システムの測色において主要な役割を果たしてきたのが、積分球をベースにした手段です。 ほとんどの積分球測色計は、”正反射光”を含んだ測定をおこなうことができます。球面にある小さなトラップドアを開くことによって、”正反射光”を測定対象から除外することもできます。 多くの場合、調色用のデータベースでは、この正反射光を測定対象の一部とした方が、より精度が高いとされています。 織物や表面がザラついたり不規則であるもの、また表面が鏡のようなサンプルの場合、この測定方法が一番適しているといえます。 テキスタイルの製造メーカーや屋根ふきタイルの製造メーカー、防音素材の製造メーカーでは、ほぼ全ての会社において基幹ツールとして積分球分光測色計が採用されています。
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0/45(45/0)測定
0/45は、人間の目に最も近い”視覚”色で測定することができます。簡単に言えば、観測者が色を判断するときに”正反射光”を除外する仕組みと同じです。 光沢のある雑誌に載っている写真を見ようとする場合、光源の反射が眼に入らないように、見る角度を調整するのと似ています。 0/45は、測定対象から正反射光を取り除き、人間が眼で見ているのと同じ正確さでサンプルを計測するという点において、より効率的な手段と言えます。
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多角度測定(マルチアングル)
これまで自動車メーカーは塗料の特殊効果の使用がされてきました。マイカ、パール系素材、貝殻の粉末、超微粒子カラーコーティング塗料、干渉塗料など、特殊な添加物を使用して、 見る角度によって異なる色を作り出しています。X-Rite社からバッテリー式携帯型多角度測定機器が発表されるまでは、この種の特殊効果色の測定には大型で高価なゴニオメーターが使用されていました。 X-Riteポータブル多角度測定機器は、世界中の主要な車メーカーとその関連する着色材のサプライチェーンに導入されています。
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色彩計(カラリメーター)
色彩計は、分光測色計とは異なるもので、三刺激値を測定する機器です。レッド、グリーン、ブルーのフィルターを使用することによって、光や色に対する人間の目の反応に応じた値を得ることができます。いくつかのアプリケーションにおいては、最も安価に品質管理がおこなえるツールとなります。色彩計は、メタメリズム(ある光源で同じに見えるという現象)を補完することはできません。 色彩計では、1種類の光(白熱光またはパルス式キセノン光など)を使用しており、またメディアの分光反射率を記録しないため、メタメリズムによるカラーシフトを予測することができません。
これに対し、分光測色計は、カラーシフトの補正に対応しているため、精度を重要視し、繰り返し測色をおこなう場合には、適切な選択肢となります。