前回、ISOのプロセス印刷用の濃度ステータスとして、ステータスT,E,Iがあることを紹介しましたが、今回はその内容をもう少し詳しく見ていきたいと思います。
前回、ISOはこれらの波長領域の重み付けを数値として規定してることをご説明いたしました。(元々は色分解用フィルターの特性をベースにしたものです) 図-3に重み付けの波長グラフを示します。横軸が波長で、縦軸が重み付けの係数になります。

図-3 ステータスTとEの重み付けファクター
このようにマゼンタ用やシアン用の重み付けは、ステータスTとステータスEとで同じものが使用されています。
つまり、M濃度やC濃度はステータスTとステータスEで全く同じ数値となります。 違いが出るのはイエロー濃度だけです。イエロー用の重み付けでは、ステータスEが500nmあたりでほぼゼロになっているのに対して、ステータスTでは550nmあたりまで感度が延びています。
この違いは、イエローインキのインキ量(オフセットではインキの盛り量)の増減に対する濃度の対応に影響します。 イエローインキはシアンやマゼンタのプロセスインキと比較して、比較的純粋な色味をしています。
つまり、照明光の短波長成分のみを吸収し他の波長領域の光を吸収しない(副吸収が小さいということです)特性を持ち、その分光反射率は480nmあたりで急峻に立ち上がります。(図―4参照)
ステータスTの応答特性を使用した場合、この立ち上がり部分(図―4図中 黄緑の楕円部分)を拾うため、結果として濃度変化に対して多少鈍感になります。一方,ステータスEではこの部分を除外し、純粋にインキ量の増減を反映した短波長領域の上下のみを拾って濃度とします。 このため、数値の反応が濃度変化に敏感になり、特にオフセット印刷でのインキ壷の調整に有利なデータを提供します。
もちろんステータスTでもインキ量の増減を確認するのに不足はありませんし、見た目の濃淡の感覚にマッチしているため、コチラを使用するユーザーも多くいます。 一般にステータスTは北米で,ステータスEはヨーロッパで使用される傾向があります。

図-3 ステータスTとEの重み付けファクター
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