それでは、カラーの知覚方法や再現方法を始めとしてカラースペースについての全てを学んだところで、i1カラーマネジメントシステムについて紐解いていきましょう。
オフィスで使っている各入出力装置は、各々のカラースペースを持っています。カラーマネジメントとは、ひとつのデバイスのカラーを別のデバイスへ正確に変換することで、これによって各デバイス間でカラーが一貫したものとして扱われます。
カラーの変換を司るものには2つの主なコンポーネントがあります:プロファイルとカラーマネジメントモジュール(CMM)です。
カラープロファイル
カラーマネジメントシステムを機能させるためには、各デバイスのカラー特性を記述したリソースが必要です。
これがプロファイルの役割です。入出力装置の全てのキャリブレーションを行なった後、i1は各デバイスにおいてICC標準に基づくプロファイルの作成をお手伝いします。 プロファイルの品質と精度は、最終的に得られる結果の品質に直接影響しますので、大変重要です。
カラーマネジメントモジュール(CMM)
CMMはカラースペース間で翻訳機の様な役割をするコンポーネントです。CMMは、あるデバイスのカラースペースから別のスペースに得られたカラーのセットを数学的に変換するために(デバイス非依存のカラースペースにおいて)、プロファイル内のカラー情報を使用します。
カラー変換プロセス
全てのモニタはカラー表示をRGBで行なっていますが、モニタはそれぞれ異なるガモットやカラー範囲を持っています。また、カラープリンタもまた全く異なるガモットを持つことができるのです!異なるガモットを持つデバイス間では、お互いのカラーを正確に再現することはできません。
しかし、あるデバイス上で使用されているカラーを注意深く移動させることにより、ある画像が別のデバイスに表示されるか出力されるときに視覚的な調和を向上させることができます。しかし、各デバイスによるガモットの違いのため、デバイス間で完璧にカラーを一致させることは不可能です。このため、CMMは次の最も近い再現可能なカラーを選択することにより、ガモットマッピングを行ないます。
想像できるように、カラー画像の制作の全ての異なる目的を処理することができる、カラー変換のためのたったひとつの方法と言うものは存在しません。たとえば、ロゴのカラーを再現するときは、可能な限り近い色が必要となります。また、画像を作成するときのゴールは、画像内全体のカラーの色調幅やグラデーションなどを保持することです。
これらの異なる目的に対処するために、ICCはレンダリング・インテント(Rendering Intents)という異なるオプションを定義しています。これにより、各々の必要に基づいたカラーの変換を行なうことができます。これらを理解するのに最も重要な2つの項目として、知覚的および絶対比色レンダリング(Perceptual and Absolute Colorimetric)があります。
知覚的(画像)レンダリング・インテントとは、最終画像を元画像の忠実な再現として人間の眼が知覚することを保証する方法で画像を再現するものです。知覚的インテントは、一般に画像の再現に使用されます。
絶対的な色域を維持-レンダリングインテントでは、カラーデータは行き先のカラースペースのために最も小さいカラー領域に基づいて変換されます。このレンダリングインテントはロゴやその他のスポットカラーの再現に用いられます。