今回は分光器の仕組みについて説明します。
分光測色計は測定対象の物質を反射もしくは透過してきた光を波長成分で分散してサンプリングします。
つまりニュートンの実験のように光を虹の成分に分解して、それぞれの成分の強さを測定するのです。
この虹を作る機器、いわゆる分光器にいくつかのタイプがあります。
最も代表的なものはニュートンの実験でも使用したようにプリズムです。
図 - 1のように、反射してきた光に対して、プリズムで虹を作って(分散して)おいて、 センサー前のスリットをスライドさせることで各波長の強さを測定します。
この仕組みはシステムが大掛かりになるため、現在では一般的な色の測定には使用されていません。
次に現在の分光システムとして最も一般的に使用されているのがグレーティング(回折格子)を使用した分光システムです。
グレーティングはCDやDVDのように鏡面に細い溝を入れることで反射角度で異なる波長を取り出すことができるデバイスです。
CDやDVDの記録面を光に当ててみると虹色が見えると思いますが、これはグレーティングの効果によるものです。
グレーティングの原理は、図 - 2のように、光の入射角をβとした時、反射角αで、特定波長の位相差(波数X光路差)が2πの整数倍になるとき、干渉した強度(振幅)が最大になるという原理によるものです。
つまりαの角度ごとに異なる波長の成分のみが取り出せる仕組みになります。
図 - 2 グレーティング(回折格子)の仕組み
グレーティングを使用した分光システムの仕組みを図 - 3に示します。
サンプルからの光をグレーティングに入射して反射してくる光をセンサーがずらりと並んたポリクロメータ(センサーアレイ)で受光すれば、角度ごとの異なる波長の光の強度を測定できることになります。
図 - 3 グレーティングによる光の分光システム
グレーティングの仕組みでは波長解像度の高いサンプリングを行いますが、高度方向のダイナミックレンジを大きくとるためにコンボリューションにより、10nm程度の波長解像度にまとめて利用します。
グレーティングシステムの問題点は分光器とセンサーアレイの位置取りが非常に厳密に位置合わせされていなければならないことです。位置取りが1nmずれただけでも大きな測定誤差になってしまうため、振動などに衝撃などには弱くなる傾向があります。
ハンディーの測定器など、現場での使用を目的にした耐震性の良い分光器としては干渉フィルターによるフィルター方式の分光システムがあります。
干渉フィルターは、通常、誘電体や金属蒸着などの多層膜で作成される狭帯域のバンドパスフィルターが使用され、サンプリング波長ごとの16-31枚程度のフィルターを円盤の周囲に配置することで、このフィルター円盤を一回転させると全波長成分がサンプリングされる仕組みになっています。
図 - 4 フィルター円盤による光の分光システム
このサンプリング方式の特長は振動などの衝撃に強くハンディーの分光測色計に利用されています。
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