透過測定と反射測定、最適なベンチトップ分光測色計とは?

Posted February 26, 2019 by Mike Huda

ベンチトップ分光測色計は、ガラス、液体、繊維など、さまざまな不透明、透明のサンプルの色を透過または反射モードで測定・定量化することができます。本記事では、透過測定と反射測定の違いを説明し、どのベンチトップ分光測色計を選ぶと良いか、ご説明します。

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透過測定と反射測定

透過測定と反射測定が可能な分光測色計は、フラッシュを照射し、透過または反射された光を測定し、360~750nmの間のすべての光の波長の分光透過率または分光反射率を作成します。反射して戻ってくる主波長がその色を示します。青紫、藍、そして青は、波長が短く、400~550nm。緑はその中間で、550~600nm。黄、オレンジ、赤は最も長い波長を示します。OBAと蛍光剤含む場合は、100%以上のピークに達します。

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反射測定の分光測色計は、サンプルの表面に光を照射し、10ナノメートル単位で反射率を測定することで色を測定します。完全に不透明な表面を測定する場合、反射測定の分光測色計で十分です。

一方、透過測定の分光測色計は、サンプルを通して光を投影できます。反対側にある検出器は、透過した光の波長と量をとらえ、平均透過率も数値化できます。

Ci7000シリーズ

分光測色計 Ci7000シリーズは、さまざまな色測定のニーズに対応します。4つの測定モデルがあり、すべてASTM D2244に準拠します。Ci7000 シリーズの積分球分光測色計には、さまざまな色測定のニーズを満たす 4 つのモデルが含まれており、そのすべてが ASTM D2244 に準拠しています。色測定のニーズに合う、最適なモデルの選定方法は以下にご紹介します。

 

反射のみの測定

Ci7500: ベンチトップ分光測色計Ci7500は、入門モデルであり、反射測定のみ対応します。塗装部品のような不透明な材料の表面測定だけが必要な場合、Ci7500は最適なモデルです。透過測定まで必要な場合は、Ci7500では対応できません。

Ci7520: ベンチトップ分光測色計Ci7520は、反射測定向けです。オレンジジュースの色測定と等級付けのための米国農務省認定(USDA)のモデルです。磁石で固定される試験管ホルダーを使用し、装置を汚すことなく測定できます。Ci7520はオレンジジュースだけでなく、他の液体も正確に測定することができます。

 

反射測定と透過測定の両方

ベンチトップ分光測色計Ci7600、Ci7800とCi7860モデルは、透過測定と反射測定の両方のモードで測定できます。不透明と半透明の両方のサンプルを測定する場合に最適です。各モデルに4種類の測定モードがあります。

  1. 直接透過測定モード:ジッパー付き袋や透明ガラスなど、透けて見える透明サンプル向け
  2. 全透過測定モード:洗濯用洗剤のような、光は透過するが、はっきりと見通すことができない半透明のサンプル向け
  3. ヘイズ測定モード:光を散乱させる半透明のサンプル向け。自動車のブレーキランプのプラスチックカバーなど、電球やフィラメントを見せずに赤色光を散乱させます。ベンチトップ分光測色計Ci7600, Ci7800とCi7860 モデルは、ASTM D1003 – 手順 B の仕様および品質管理の標準方法に適合しています。
  4. 標準反射測定モード:フロントポートで異なるサイズの開口部を使用し測定可能

 

材料の表面測定のみが必要な場合、ベンチトップ分光測色計Ci7500で十分です。光を透過する表面を反射モードで測定できますが、サンプルの半透明性に注意する必要があります。結局、どのモデル選択をするかは、必要なデータ次第です。

サンプルは本当に不透明ですか?

不透明度は、表面や基材を遮蔽すること、または材料が光を透過する能力という 2 つの性質で考慮されるため、透過率と不透明度の測定は必ずしも同義ではありません。

Transmission vs. Reflection: Which Benchtop is Right? Ci7500 Blog

人間の手は不透明と思えるかもしれません。 しかし、懐中電灯を押し当てると、反対側から光が見えます。(参照:CoolScience.org)

半透明サンプルと透明サンプルの違い

半透明の物体は光を通しますが、視界を妨げます。エッチングされたプラスチックの浴室ドアは半透明です。一方、ガラスのような透明の物体は、反対側をはっきりと見ることができます。

応用の事例

塗料、それは不透明ですか?はい、壁に塗ると下地を覆ってしまいますので、透けて見えることはありません。しかし、本当に不透明かどうかを確かめるには、コントラスト比法を用い、塗料を分析する必要があります。塗料は通常、下地に塗られ、不透明になりますので、この場合はベンチトップ分光測色計Ci7500が最適なモデルです。

プラスチックについて話しましょう。プラスチックサンプルを通して見ることはできないかもしれませんが、光を透過する能力があるかもしれません。プラスチックボトルは不透明に見えるかもしれませんが、実際にテストしてみないとわかりません。例えば、過酸化水素用ボトルの中身は太陽光によってすぐに劣化します。このタイプのボトルは、太陽光を遮るため、茶色で製造されています。しかし、強い光が当たると透けて中身が見えます。これらのボトルは、過酸化水素の厳しい品質パラメーターを考慮しないといけないため、できる限り不透明になるように製造されています。

テキスタイルも作業のタイプによって、分光測色計を選ぶ種類が異なります。AATCC規格(米国繊維化学技術・染色技術協会規格)では、不透明になるように、サンプルを4つの面に折りたたむように指示しています。コーデュロイのズボンや綿織物のロールを測定するには、十分ですが、透明度がある素材や薄い半透明のナイロン素材では、他の定量化の方法を検討した方が良いでしょう。透過する光の量を指定する繊維材料を測定する場合、ASTM規格の203遮光試験法では透過機能を備えた分光測色計を使用する必要があることに注意してください。

最適なベンチトップ分光測色計のモデルを選ぶには?

光を透過できない 100%不透明の表面のみ測定する場合は、ベンチトップ分光測色計Ci7500が最適です。不透明の測定が中心でも、光が透過する対象物の色を測定することもある場合、ベンチトップ分光測色計Ci7600以上の、透過測定が可能なモデルを検討しないといけません。上記の各種モデルはヘイズについてのASTM D1003、分光光度法による着色ASTM E1348 、透過率規格ISO 22892に準拠しています。

例えば

  • 小規模な成形業者や、不透明な材料を厳密に扱うプラスチック加工業者であれば、ベンチトップ分光測色計Ci7500を推奨します。将来、透過機能も必要となる可能性が高い場合、購入前に合わせて考慮した方が良いでしょう。半透明の物体も測定するプラスチック加工業者であれば、ベンチトップ分光測色計Ci7600以上のモデルをご検討ください。
  • 多くの塗装用途では、高精度を求めるベンチトップ分光測色計が必要ですが、必ずしも透過測定の機能は必要ありません。透過測定の必要がなければ、Ci7500をお選びください。
  • ソーラーセイル(太陽帆)、屋外用傘、子供用ビーチテントなどを測定する場合、遮光性能の試験が必要です。 この場合、ASTMの遮光試験法203に準拠するCi76000以上のモデルをご検討ください。男性用ネクタイや皮革だけ測定する場合は、ベンチトップ分光測色計Ci7500で十分かもしれません。

反射測定と透過測定に関わるベンチトップ分光測色計を選ぶのは、簡単ではありません。お困りの方や、ご質問をしたい方は、お気軽にエックスライトまでお問い合わせください。