図-1
印刷物や写真感材の濃度を評価する際、使用する色材の特性に応じて評価する(チェックする)波長領域を変えて濃度を算出します。 たとえばプロセス印刷(CMYKによる印刷)のイエローインキの分光反射率特性は、用紙の上のインキ量を増減すると図-2のように変化します。
[分光反射率とは...]
分光反射率は色の指紋で,その色の性格を表しています。
分光反射率グラフは横軸に電磁波の波長を,縦軸に反射率をとって表示します。
この分光反射率の形状が色の本来の特性を表すものになります。
人間は、この色の特性が目の中にある3つのタイプの錐体というセンサーに落とし、影を見ているということになります。
イエローインキはインキ量を変化させると短波長側の反射率が変化します.このため,イエローインキを評価する濃度では、 短波長に注目する指標を使用します。シアンインキ場合は長波長側を、マゼンタインキに関しては中間波長域を評価した濃度が使用されます。
イエローインキはインキ量を変化させると短波長側の反射率が変化します。
このため、イエローインキを評価する濃度では 短波長に注目する指標を使用します。
シアンインキの場合は可視光波長域の長波長側をマゼンタインキに関しては中間波長域を評価した濃度が使用されます。
図-2 イエローインキの増減による分光反射率の変化
古くは、前回の図―1にあるように物理的な広帯域バンドパスフィルターを使用して各波長領域を抽出・評価しました。
プロセス印刷インキのフィルターとしては、ドラムスキャナーの色分解用フィルターが使用され、Y,M,C用にそれぞれラッテンの47(もしくは47B), 58, 25番が濃度計のフィルターとして使用されていたわけです。
反射率の増減をより感度良く捕えるため、広帯域のフィルターではなく、プロセスインキの吸収特性のピークにマッチするような狭帯域のフィルターを使用したいと考える人たちもいます。
一方、写真用には感材の吸収特性に合わせた狭帯域のフィルターが選択されます。
このように濃度計では、さまざまなタイプの濃度を評価するために、用途や色材に合わせてチェックする波長領域を変えて対応しています。
この評価する波長領域の標準セットがステータスと呼ばれるものになります。
現在では、ISOが波長の重み付けを物理フィルターの代わりに数値によって規定し、以下のようなステータスを定義しています。
- ステータスT
- ステータスE
- ステータスI
- ステータスA
- ステータスM
- ビジュアル濃度
- タイプ1濃度
- タイプ2濃度
- タイプ3濃度
このうち印刷に使用される濃度はステータスT, E, Iです。
ビジュアル濃度(Kインキの濃度評価に使用)はステータスに関係なく常に同じ重み付けが使用されます。
詳しくは、ISO 5-3 “Photography and graphic technology — Density measurements — Part 3:Spectral conditions”を参照してください。 それぞれのステータス濃度の特徴に関しては、次回に説明したいと思います。
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