今回はビジュアルドットゲインとメカニカルドットゲインの測定と計算方法について説明します。
まず、ビジュアルドットの測定手順は以下のようになります。
- 基材(用紙)を測定
- ベタパッチを測定
- 指定された名目%のアミパッチを測定
たとえばシアンの50%のドットゲインを測定する場合、図-17のような順番で測定することになります。この際、用紙やベタパッチはドットゲインを求めるアミパッチにできる限り近いパッチを測定します。(測定器によっては用紙やベタパッチの測定は初回のみ求められます。)
図-17 カラーバー上のドットゲイン測定パッチ
このようにして求められる数値はアミ点面積率(%)になります。ドットゲインは測定されたアミ点面積率(%)から名目ドット(%)を引き算することで算出します。 たとえば、上の例で測定したシアンのアミ点面積率が64%だったとすると、そこから名目ドット(%)の50%を引き算して14% がドットゲインということになります。
ここで、アミ点面積率の算出自体は測定器内部で実行されますが、以下のような計算で導かれています。
たとえば、図-18の左図のアミ点のエリアを右図のように寄せ集めて、これが全体に占める面積の割合(ここでは、マゼンタのアミ点面積率)を a とします。(領域全体を1として考えます) 測定によるマゼンタのベタ濃度(白紙基準濃度)が Ds だったとすると、マゼンタの画像部の反射率は 10-Ds となります。
つまり、全反射におけるマゼンタドットによる反射の寄与は面積率X反射率で a ×10-Ds です。今度は用紙からの反射の寄与分を考えます。用紙の面積率は全体が1としたので 1-a になります。
白紙基準濃度を使用しているので用紙の濃度は0、つまり反射率は1として考えます。
用紙からの反射の寄与は1×(1-a) となります。
マゼンタアミ点からと用紙からの反射をあわせて全領域からの反射は a ×10-Ds + 1×1-a
これがアミ点全領域からの反射率と等しくなるわけです。
アミ点全領域からの反射率はアミ点パッチの測定濃度(用紙基準濃度)が Dt だったとすると 10 - Dt となります。
つまり、
10 - Dt = a × 10 -Ds + 1 × (1 - a) となるため
が求めるアミ点面積率となります。
図-18 ドットを寄せ集めたアミ点の面積率
このように、測定濃度値からビジュアルドットゲインを計算する計算方式をマレイ・デイビスと呼びます。
一方、メカニカルドットゲインの場合はどうでしょうか?
メカニカルドットの面積率は光学的な太りを含まない物理的な面積ですから、一般的には濃度計ではなくiCPlateのようなCCDなどのカメラベースの測定デバイスのほうが適しています。
しかし、測定濃度値からこのメカニカルドットの面積率を求める方法もあります。 これが、ユール・ニールセンという計算方式で下のような計算式を使用します。
ポイントはマレイ・デイビス式の濃度値をnで割った値を使用することです。
このnの値をnファクターと呼び,理論からではなく経験値から帰納的に求めることになります。
このnファクターは基材やプレートのタイプによって異なります。
一般的にはプレートメーカー*などからこのnファクターを入手します。
自分でnファクターを求めたい場合は、面積率が50%と判明しているパッチを測定して、このアミ点面積率の値が50%になるようnを調整して求めます。
*メカニカルドットゲインは、通常プレートのキャリブレーションのために使用されます。
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